リスク工学研究会(RERM)

2018年度開催RERM

第177回リスク工学研究会

講演日時 2019年1月11日(金)18:30-19:30
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 関谷直也氏(東京大学大学院情報学環 総合防災情報研究センター 准教授)
講演題目 災害社会科学
講演概要 同じ災害や防災について、解決策を導こうとする諸学問であっても、工学か社会科学かによって発想は大きく異なる。本講演では、主に国内の日本の災害研究における災害社会学、災害心理学に関する基本的な考え方とごく簡単な初歩的な研究について触れる。
企画担当・司会 鈴木雄太(リスク工学専攻 博士後期課程)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第176回リスク工学研究会

講演日時 2018年12月17日(月)18:15-19:15
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 三本知明氏(株式会社KDDI総合研究所 研究員)
講演題目 行列分解のプライバシ保護技術としての可能性
講演概要 行列分解はデータ分析に用いられる主要な技術の一つである。行列分解により得られた二つの行列の積はもとの行列の近似値を取るため、行列分解は一種のプライバシ保護技術として考えることができる。本講演では実データを用いた実験を行い、行列分解のプライバシリスクへの影響および他の主要なプライバシ保護技術との関係を考察する。
企画担当・司会 面和成(システム情報系 准教授:リスク工学専攻担当)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第175回リスク工学研究会

講演日時 2018年12月10日(月)18:15-19:15
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 北﨑智之氏(産業技術総合研究所 自動車ヒューマンファクター研究センター センター長)
講演題目 自動運転技術の進化と普及における新たな交通事故のリスク
講演概要 自動運転技術の世界的開発競争が激化して数年がたった。市場ではレベル2に相当する技術を搭載したクルマの市販が始まり、レベル3技術についても、いくつかの企業が商用化計画を発表している。レベル4や5の実現にはまだ多くの時間がかかるとみられており(限定地域や専用レーンでのサービス展開を除く)、当分の間レベル2, 3の機能拡大や性能向上などの技術進化が主流になるとみられている。一方でテスラやウーバーをはじめとして、関連技術を搭載したクルマの交通事故が報告されている。交通事故を削減するはずの自動運転技術がなぜ逆に事故を引き起こすのか? そこには複雑に絡み合ったいくつものヒューマンファクターが要因となって作用していると考えられる。そして皮肉なことに、技術が進化するに伴って、ヒューマンファクターに起因するリスクは増大する可能性がある。自動車の歴史100年の中でも特大のチャレンジである自動運転技術を、安全でかつ社会に受け入れられるものとし、さらにはヒューマンエラーを排除して、交通事故を飛躍的に削減するキー技術とするためには、人間の特性や限界を理解し、それを補うようにHMIやシステム、さらには社会制度を設計する“人間中心の設計”が今後急速に重要になると考えられる。本講義においては、レベル2および3の部分的自動運転および条件付き自動運転に潜むヒューマンファクター課題の定義と、SIP自動走行システムヒューマンファクター研究開発プロジェクトにおける、それらの課題への取り組みを紹介する。
企画担当・司会 李智恩(リスク工学専攻 博士後期課程)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第174回リスク工学研究会

講演日時 2018年11月26日(月)18:15-19:15
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 川上 啓一 氏、中條 恵理華 氏(東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 自動車リスク本部)
講演題目 企業向け交通事故削減コンサルティングという仕事
講演概要 国内企業は数多くの車を保有している。バス、トラック、タクシーといった運送事業者は人・モノを運ぶため。それ以外の一般企業は、主に商品販売の移動手段として。車の維持・管理には一定のコストがかかるが、その最も大きな変動要因が交通事故。事故が起これば損失が発生し、企業の収益を圧迫する。倒産に追い込まれるケースも。一方で、事故が多い企業もあれば、少ない企業もある。その違いは、交通事故リスクマネジメントが機能しているかどうか。当社は事故が多くて困っている企業を対象に、リスクマネジメントメソッドを提供し、交通事故削減を支援している。本講演では交通事故削減コンサルの要点と事例を紹介する。
企画担当・司会 梅本 通孝 (システム情報系 准教授:リスク工学専攻担当)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第173回リスク工学研究会

講演日時 2018年11月19日(月)18:15-19:15
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 内山 祐介 氏(筑波大学システム情報系 非常勤研究員)
講演題目 確率論的リスク解析の基礎数理
講演概要 確率論的リスク解析において、対象とするデータが従う確率法則を同定することが重要である。現実のデータは非正規性や長期記憶といった複雑系ゆらぎの特徴を示すため、それらの特徴を考慮したモデリングが必要である。本講演では、複雑系ゆらぎの確率モデルと基礎的な取り扱い方を紹介する。また、実データから確率モデルを推定することの妥当性を保証するエルゴード性の成立条件についても触れる。
企画担当・司会 羽田野 祐子 (システム情報系 教授:リスク工学専攻担当)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第172回リスク工学研究会

講演日時 2018年11月14日(水)18:15-19:15
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 足立 高徳 氏(首都大学東京大学院経営学研究科 教授)
講演題目 アルゴリズム取引の実際
講演概要 コンピュータを使って自動的に金融取引を行う手法をアルゴリズム取引という。 本講演では、講演者の外資系金融機関にて14年間アルゴリズム取引を行ってきた経験をもとに、その中でも特に高速に取引を行う高頻度取引を中心に、どのようにしてビジネスが構築運用されるかを、そこで使われる数学とともに、具体例を挙げて報告する。
企画担当・司会 三崎 広海(システム情報系 助教:リスク工学専攻担当)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第171回リスク工学研究会

講演日時 2018年10月22日(月)18:15-19:15
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 島田 貴仁 氏(科学警察研究所犯罪行動科学部犯罪予防研究室 室長)
講演題目 リスクとしての犯罪―犯罪被害予防のための心理学的アプローチ
講演概要 犯罪問題に対する社会の関心は、ともすれば散発的に発生する特異凶悪事件に集まりがちですが、空き巣、ひったくり、特殊詐欺といった財産犯罪や交際相手間のデート暴力など身近な犯罪被害が社会にネガティブな影響を与えています。それらの犯罪は適切なリスク分析と対策立案によって削減が可能ですが、加害と被害との両方に人間がかかわるため、工学や心理学を含む学際的なアプローチが必要です。本発表では、リスクとしての犯罪の性質を、災害や疾病など他のリスクと比較した後に、介入実験として、潜在的犯罪者の犯行阻止のための街頭防犯カメラの設置、潜在的被害者の予防行動促進のためのフィールド実験について紹介します。
企画担当・司会 長谷川大輔(リスク工学専攻 博士後期課程)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第170回リスク工学研究会

講演日時 2018年7月2日(月)15:15~16:15
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 趙 方明氏(HDI Global SE保険会社 引受統括部 Cyber Underwriter)
講演題目 サイバー保険の現状と今後の課題
 - How to deal with the "residual" Cyber Risk? A multi-effect approach - Cyber Insurance
(講演は日本語)
講演概要 In today’s rapidly changing technological environment it is extremely difficult to completely prevent cyber-attacks from a technical security standpoint. This is easily observable through reported security breaches and incidents happening across all industries. Risk associated with cyber-attack is considered as one of the most challenging issues and is resulting in serious impacts to corporate business. It is widely recognized that cyber-security has become, and continues to increase in importance, as a management issue from the viewpoint of corporate strategy. Certainly on one side, investment in technical cyber-security countermeasures and practices is important and on the other side, risk managers must find solutions to cope with residual cyber-security risk. In this talk, Dr. Zhao will initially explain the basic concept of cyber insurance. Dr. Zhao will summarize the background and history for cyber insurance development, its basic terms, and the process, while highlighting the unique aspects of cyber insurance in comparison to other insurance products. Then, Dr. Zhao will explain the relationship between the cyber security risk assessment model and the technical underwriting process. Dr. Zhao will show how the investment in cyber-security technology increases the eligibility to qualify for better coverage and results in cost reduction when purchasing cyber insurance. Clarifying the scope of cyber insurance cover will help you understand its advantages; furthermore, understanding the scope of cover provides organizations new insight and incentive to increase focus on measures to prevent and transfer the cybersecurity risk. Ultimately this comprehensive approach increases defense against cyber-attacks and reduces negative impact on the business even if some defenses prove not strong enough. At last, Dr. Zhao will provide overview of the market both inside and outside of Japan and conclude this talk with the highlighting of existing issues for further development of the cyber insurance industry.
企画担当・司会 西出隆志(システム情報系 准教授:リスク工学専攻担当)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第169回リスク工学研究会

講演日時 2018年6月14日(木)18:15-19:15
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 倉橋 節也 氏 (筑波大学ビジネスサイエンス系 教授)
講演題目 データからモデルベース政策形成へ
講演概要 日々、多くの重要な社会・経済政策が決定されている。しかし、多くの政策は過去の経験やデータに基いて議論が行われ、意思決定されてきた。このような、エビデンスに基づく政策形成(EBP)と呼ばれる手法に対し、本講演では、モデルに基づく政策形成(MBP)を提案する。この手法は、データサイエンスおよびエージェントモデルを基盤とし、社会シミュレーション技法を使用する。ビジネス分野においては、帰納法としてのビジネスデータ分析と、演繹法としてビジネス戦略立案をつなぐものとなる。適用事例として、都市動態モデル、金融リスクモデル、教授法モデルなどを紹介する予定である。
企画担当・司会 古川 宏(システム情報系 准教授:リスク工学専攻担当)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第168回リスク工学研究会

講演日時 2018年6月4日(月)15:15~16:15
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 亀山 啓輔 氏 (本学システム情報系 教授,学術情報メディアセンター長)
講演題目 筑波大学の情報環境の維持とリスク
講演概要 今日、大学における情報サービスは、インターネット上の各種サービスと組み合わせて活用されることにより研究や教育に新たな利便性をもたらしている。一方、セキュリティリスクもまた多様化かつ複雑化しており、大学の情報環境を維持するためには、この変化に追随したセキュリティ対策が求められている。本講演では、筑波大学学術情報メディアセンターが提供する情報環境の基盤となる各種サービスを紹介し、セキュリティ向上を図る目的で昨年度から開始した、国立情報学研究所(NII)との連携による攻撃検知・防御体制の整備および学内の全IPに対するクローラを用いた脆弱性検査について述べる。また、最近のセキュリティインシデントの実例を紹介し、今後大学のとるべきセキュリティ対策について考察する。
企画担当・司会 古川 宏(システム情報系 准教授:リスク工学専攻担当)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第167回リスク工学研究会

講演日時 2018年5月21日(月)15:15~16:15
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 面 和成 氏 (本学システム情報系 准教授:リスク工学専攻担当)
講演題目 暗号通貨のセキュリティ
講演概要 ビットコインをはじめとする暗号通貨(仮想通貨)が注目を集めている。特にビットコインは、パブリックブロックチェーン技術が最も有効に適用された一例であり、P2Pネットワークを用いた分散型通貨である。一方、2018年1月26日にはコインチェック社における仮想通貨NEMの流出事件が発生して約580億円分のXEMが流出した。これによって、暗号通貨への不信感や不安が大きくなったと言われている。本講演では、暗号通貨が安全であるのかという問いに答えるべく、暗号通貨とはどういうものなのか、どういう技術を用いているのか、どういうところに安全性の課題があるのかについて概説する。
企画担当・司会 古川 宏(システム情報系 准教授:リスク工学専攻担当)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第166回リスク工学研究会

講演日時 2018年4月12日(木)17:00~18:00
場所 筑波大学総合研究棟B-0110公開講義室
講演者 Mario Arturo Ruiz Estrada 氏 (マレーシア・マラヤ大学)
・マレーシア・マラヤ大学社会安全研究センター上級特別研究員,Ph.D in Economics
・Econographicology, Econographicationを提唱。
講演題目 1)”Hydrological Hazard Assessment: The 2014-15 Malaysia floods”
2)”A New Model to Evaluate the Economic Effects of Floods and Its Application in China”
講演概要 1)”Hydrological hazard assessment: The 2014-15 Malaysia floods” This paper intends to establish conceptual foundations on the identification of standards and metrics for assessing the impact of hydrological hazards. The economic evaluation of flood damage cost model (EFDC-Model) attempts to estimate the impact of water occurrence, movement, and distribution on GNP growth. The model is based on seven basic indicators: (i) the national precipitation growth rate (ΔPi); (ii) the main factors which generate large precipitation (ΔLi); (iii) the sinking magnitudes levels rate (ST); (iv) the national floods recurrence rate (FT); (v) the floods devastation rate (Dk); (vi) the economic desgrowth from floods devastation rate (-δf); and (vii) the floods damage surface. The model investigates the recent floods in the Malaysian states of Kelantan and Terengganu for the period 2014-2015.

2)”A New Model to Evaluate the Economic Effects of Floods and Its Application in China” We set forth the macroeconomics evaluation of floods (MEF) model, a new model to assess and evaluate the impact of floods on GNP growth. This model points to a new, more concrete approach to measure the economic impact of floods. Up to now, the measurement has been subject to a great deal of uncertainty. The main contribution of the model is to significantly reduce this uncertainty by measuring the impact with four well-defined, economically intuitive indicators. To illuminate and demonstrate its promise, we employ the model to evaluate and analyze the impact of two major floods on the economy of the People’s Republic of China. Our MEF-Model analysis indicates that the floods of Zhangshu and Jiangxi in 2010 caused greater economic damage than the floods of Central South China in 1931. Going forward, MEF-Model simulations are a valuable tool for estimating the effect of potential future floods in the PRC and elsewhere.
企画担当・司会 梅本 通孝(システム情報系 准教授:リスク工学専攻担当)
問い合わせ先 2018年度RERM担当 古川 宏(furukawa"at"risk.tsukuba.ac.jp)
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