リスク工学研究会(RERM)
リスク・レジリエンス工学学位プログラムでは,定期的にリスク工学研究会(Risk Engineering Research Meeting : RERM)を開催しています。参加は自由ですので,教員,学生を問わず,専攻外の方でも,興味をお持ちの方はふるってご参加ください。
趣旨
近年,個人・企業等の自然災害のリスクおよび社会リスクに対する関心は高くなってきている.地球規模での高度情報化が進み,社会システムも複雑化する一方で,ひとつの事象を限定的な分野内で把握し,問題点を解決することは年々難しくなっている.リスク評価の難しさは,社会の複雑化と密接に関連しており,リスクに対する関心の高まりは,昨今の複雑かつグローバルな社会事象を反映していると思われる.
そのような背景の中で,2002年度 リスク工学専攻には電子情報,機能工学,社会工学から「リスク」をキーワードとして異なる分野の研究者が集まった.
2020年度からリスク・レジリエンス学位プログラムに発展的に移行し、リスク・レジリエンス基盤,情報システム・セキュリティ,都市防災・社会レジリエンス,環境・エネルギーシステムといった研究会設置当初より複雑化した社会の多様なリスク・レジリエンスに対応可能な研究者により構成されている.
しかし,リスク・レジリエンスのニーズに応えるためには抽象的なレベルでの議論ではなく,具体的な構想を練らねばならず,次の二点が必要であると考える.
ひとつは,各構成員がリスク・レジリエンス工学学位プログラムに適した研究をしっかりと進めていくことであり,もうひとつはこれらの各研究を可能な範囲で連携していき学位プログラム内での共同研究プロジェクトとして立ち上げることである.
それらが集まった時に自ずとリスク・レジリエンス工学学位プログラムとしてのユニークな将来構想が見えてくる.
2021年度開催RERM
第199回リスク工学研究会
講演日時 | 2021年12月20日(月)18:15-19:15 |
---|---|
場所 | Zoomによるオンライン講演 |
講演者 | 渡辺 研司氏 (名古屋工業大学 経営システム分野 教授) |
講演題目 | 激甚化・頻発化する自然災害リスクと災害感応度の高い都市圏における災害連鎖の動的予測の重要性 |
講演概要 | 国内大都市圏では、社会経済活動を支える機能群や人流、物流、金流、情報流が極度に集中し相互依存しているため、ひとつの大規模災害を引き金として複合的な災害連鎖が急速に拡散し、被害が想定以上に拡大してしまう深刻な事態が散見されるようになっています。特に広域首都圏では大きな昼夜間人口差を生み出している通勤・通学者の人流、また中部圏では日本の経済・産業活動を支える東西の物流・人流が大きな災害リスクにさらされています。 本講演では、災害リスクとその影響の可視化技術と訓練用災害シナリオ生成技術を技術シーズとし、広域首都圏・関西圏、そして両者をつなぐ中部圏の災害対応を統括する自治体や中核企業他との対話を重ねながら、大規模災害の災害連鎖による社会経済活動の途絶や不具合の増幅に伴い発生する混乱を動的に予測するモデルとツールを試作中のRISTEXプロジェクトのご紹介を行います。 |
参加方法 |
・リスク・レジリエンス工学学位プログラムの学生・教員は申込不要です。 ・それ以外の学内の方は2021年度RERM担当秋元までお問い合わせください。 |
企画担当・司会 | Andrijanto(リスク・レジリエンス工学学位プログラム博士後期課程) |
問い合わせ先 | 2021年度RERM担当 秋元(akimoto"at"risk.tsukuba.ac.jp) |
第198回リスク工学研究会 (共催:原子力規制人材プログラム講演会)
講演日時 | 2021年12月13日(月)18:15-19:15 |
---|---|
場所 | Zoomと総合研究棟B110におけるハイブリッド開催 |
講演者 | 鈴木聡博 氏(東京電力 立地地域部 原子力センターリスクコミュニケーター) |
講演題目 | 福島第一原子力発電所における廃炉の現状-事故の概要と廃炉の進捗状況- |
講演概要 | 2011年3月11日の大震災に伴い発生した福島第一原子力発電所事故の概要とその後の廃炉作業の課題である使用済燃料プール内の燃料取出しおよび燃料デブリの取出し、日々増え続ける汚染水の処理、処理水の保管状況等について説明する。また、事故を起こした東京電力HDの福島復興へ向けた取り組みについてもあわせて紹介する。 |
参加方法 |
・学内限定: リスク・レジリエンス工学学位プログラムの学生・教員は申込不要です。 ・それ以外の学内の方は2021年度RERM担当秋元までお問い合わせください。 |
企画担当・司会 | 岡島敬一(システム情報系 教授:R2学位P担当) |
問い合わせ先 | 2021年度RERM担当 秋元(akimoto"at"risk.tsukuba.ac.jp) |
第197回リスク工学研究会
講演日時 | 2021年12月6日(月)18:15-19:15 |
---|---|
場所 | Zoomと総合研究棟B110におけるハイブリッド開催 |
講演者 | Husam Muslim 氏(日本自動車研究所) |
講演題目 | Vulnerable road user safety and the coming wave of highway automated driving systems: A review study |
講演概要 | Limited-access highways are designed to accommodate high-speed motor vehicles, with lack of pedestrian infrastructures, such as sidewalk and zebra crossing, and controlled with toll gates where traffic gets on and leaves at selected locations only. Because the presence of pedestrians on limited-access highways is illegal, the main safety research focus in developing Automated Driving Systems (ADS) has been put on vehicle-to-pedestrian interactions outside highways. However, collisions involving non-motorized vulnerable road-users (VRUs), such as pedestrians and cyclists, on highways are frequently reported. This biased focus is also reflected in the initial discussions to develop international standards and regulations to accommodate the highway automated driving systems that will be released to the global market. For example, the UN R157, the first international regulation ever on a level 3 Automated Lane Keep Systems for highways reads: ‘The activated system shall avoid a collision with an unobstructed crossing pedestrian in front of the vehicle’. However, no requirement is provided concerning pedestrians partially obstructed by disabled vehicles, by pedestrians interacting with other pedestrians in seek for help, or by maintenance, police or medical staff conducting their duties on highways, all of which were found very relevant in the current study. Similarly, the current standard ISO DIS 34502 which focuses on Scenario-based safety evaluation framework for level 3 and above ADS, in-corporates pedestrians as perception targets, and the need to safely address the perceived targets in a generic over-simplified manner without accounting for the complexity of human characteristics in their interaction with other participants or objects commonly present in the accident scene. The aim of this study is to provide evidence to support the development of ADS safety evaluation strategies that consider the possible presence of VRUs on highways. A narrative re-view is conducted, covering the epidemiology of VRU crashes in limited-access highways to identify typical crash patterns considering collisions severity and the underlying reasons for VRU to use the highway. The review results show that occupants alighting from a disabled or crashed vehicle, people seeking help or helping others, highway maintenance zones, police stops, and people crossing a highway should be given priority to ensure VRU safety on high-ways. These results are summarized in figures with schematic models that may be considered to generate functional scenarios for ADS safety assessment. Additionally, the results are discussed using two examples of traffic situations relevant for potential ADS-VRU interactions on high-ways. |
参加方法 |
・リスク・レジリエンス工学学位プログラムの学生・教員は申込不要です。 ・それ以外の方は2021年度RERM担当秋元までお問い合わせください。 |
企画担当・司会 | Andrijanto(リスク・レジリエンス工学学位プログラム博士後期課程) |
問い合わせ先 | 2021年度RERM担当 秋元(akimoto"at"risk.tsukuba.ac.jp) |
第196回リスク工学研究会
講演日時 | 2021年11月22日(月)18:15-19:15 |
---|---|
場所 | Zoomと総合研究B0110によるハイブリッド開催 |
講演者 | 森 竜一 氏(株式会社INPEX 上流事業開発本部 新規探鉱ユニット) |
講演題目 | エネルギー開発企業の石油・天然ガス探鉱ステージにおけるリスク分析と意思決定 |
講演概要 | 今般、低炭素化社会の実現に向けて新たな化石燃料の開発に対するハードルが高くなる中、石油・天然ガス開発企業は、埋蔵量規模を追求するフロンティア探鉱から、より良好な経済性が期待される探鉱を追求していく必要に迫られています。本講演では、探鉱の段階から石油・天然ガス開発企業が開発・経済性のリスクをどのように評価・管理し、それを投資の意思決定に反映しているかについて概説します。 |
参加方法 |
・リスク・レジリエンス学位プログラムの学生・教員は申込不要です。 ・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。 https://forms.gle/5DCpKAc3QAwfqH7w8 |
企画担当・司会 | 秋元祐太朗(システム情報系 助教:R2学位P担当) |
問い合わせ先 | 2021年度RERM担当 秋元祐太朗(akimoto"at"risk.tsukuba.ac.jp) |
第195回リスク工学研究会
講演日時 | 2021年11月15日(月)18:15-19:15 |
---|---|
場所 | Zoomによるオンライン講演 |
講演者 | 伊東 一郎 氏(株式会社 前川製作所 コーポレート本部 人財部門) |
講演題目 | 製造業における「2025年の崖」リスク |
講演概要 | 経済産業省が2018年に発表したDXレポートの中に「2025年の崖」が出てくるが、その根幹は、主にレガシーシステムと呼ばれる老朽化・複雑化・ブラックボックス化した旧世代の基幹系システムのことである。ここを刷新しない限り、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的とならざるを得ない。その結果、効果も限定的で、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立するDX化は不可能である。製造業では情報システム部門の人数が不足していることから、IT化を進める中でベンダーの提案を鵜呑みにしがちで、要件定義が不明確のままベンダーにERPシステムを丸投げしてしまい契約上のトラブルにもなりやすい。我が国には、特徴あるものづくり企業も多く、そこでのDX化(基幹システムの刷新、IoTで取り込んだデータの利活用やシステムへのAI導入等)が進まない限り、日本の製造業の未来は危うい状況にあると考えられる。本講演ではこのような製造業が直面しているDX化に関するリスクやそれらに対して必要と予想される対策について議論する。 |
参加方法 |
・リスク・レジリエンス学位プログラムの学生・教員は申込不要です。 ・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。 https://forms.gle/qpfZqnGkyMjhukmUA |
企画担当・司会 | 西出 隆志(システム情報系 准教授:R2学位P担当) |
問い合わせ先 | 2021年度RERM担当 秋元祐太朗(akimoto"at"risk.tsukuba.ac.jp) |
第194回リスク工学研究会 (共催:原子力規制人材プログラム講演会)
講演日時 | 2021年10月25日(月)18:15-19:15 |
---|---|
場所 | Zoomによるオンライン講演 |
講演者 | 示野 哲男 氏(原子力エネルギー協議会(ATENA)) |
講演題目 | 原子力発電の安全確保について |
講演概要 | 原子力発電は、少量の燃料から莫大なエネルギーを取り出すことができるという利点がある一方で、大事故が起こるリスク、放射性物質を外部に放出して環境を汚染してしまうリスクがあり、また、廃棄物を超長期にわたって安全に処分しなければいけないといったデメリットもある。このような特徴を持つ原子力発電所を、安全に建設し、運転し、最終的には廃止して廃棄物を安全に処分するため、さまざまな技術的な対応、および制度的な対応が行われている。原子力発電の安全確保の考え方と、実際の安全確保の取り組みについて概説する。 |
参加方法 |
・リスク・レジリエンス学位Pおよび構造エネルギー工学学位Pの学生・教員は申込不要です。 ・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。 https://forms.gle/MfFTSBbDKteHt6i98 |
企画担当・司会 | 秋元 祐太朗(システム情報系 助教:R2学位P担当) |
問い合わせ先 | 2021年度RERM担当 秋元祐太朗(akimoto"at"risk.tsukuba.ac.jp) |
第193回リスク工学研究会
講演日時 | 2021年10月18日(月)18:15-19:15 |
---|---|
場所 | Zoomによるオンライン講演 |
講演者 | 嚴 先鏞 氏(筑波大学システム情報系 社会工学域 助教、地球規模課題学位プログラム担当) |
講演題目 | データに基づいた都市環境のモニタリングと評価 |
講演概要 | 近年、地球温暖化による気候変化、感染症の流行、人口減少など、環境的・社会的なリスクが増大している.このような変化に適応(Adaptation)しながらレジリエントな都市空間を構築することが重要な課題となっている。技術の発展に伴って急速に活用が普及している様々なデータの活用は、都市環境のモニタリングと対策に貢献できると期待されている。本講演では、都市空間における人の移動に関するビックデータに基づいた気候変化と感染症が人の移動に及ぼした影響に関する研究を開設し、都市のリスクマネジメントにおけるデータ活用の現状と課題について紹介する。 |
参加方法 |
・リスク・レジリエンス学位プログラムの学生・教員は申込不要です。 ・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。 https://forms.gle/J89Rksr4tW43KNgf7 |
企画担当・司会 | 秋元 祐太朗(システム情報系 助教:R2学位P担当) |
問い合わせ先 | 2021年度RERM担当 秋元祐太朗(akimoto"at"risk.tsukuba.ac.jp) |
第192回リスク工学研究会
講演日時 | 2021年7月12日(月)18:15-19:15 |
---|---|
場所 | Zoomによるオンライン講演 |
講演者 | 今倉 暁氏(筑波大学システム情報系 情報工学域 准教授 / 情報理工学位P担当) |
講演題目 | 大規模数値シミュレーションの信頼性に対する各種リスクとその対策 |
講演概要 | 近年、富岳による高精度・大規模な飛沫やエアロゾルの飛散シミュレーションの実施が話題になるなど、スーパーコンピュータを用いた大規模数値シミュレーションは、創薬やものづくり、医療・工学など様々な分野で重要な役割を果たしている。しかしながら、スーパーコンピュータによる大規模計算結果の信頼性にはいくつかのリスクが存在する。本講演では、スーパーコンピュータを用いた大規模数値シミュレーションの計算結果の信頼性に対する各種「リスク」として、アルゴリズムの誤選択による計算時間の増加や計算精度悪化のリスクおよび、計算機の故障による計算結果の誤りのリスクを紹介する。また、数理的手法によるリスク回避技術についても紹介する。 |
参加方法 |
・リスク・レジリエンス学位プログラムの学生・教員は申込不要です。 ・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。 https://forms.gle/Xe2uNHT8xW3TTyD46 |
企画担当・司会 | 高安 亮紀(システム情報系 助教:R2学位P担当) |
問い合わせ先 | 2021年度RERM担当 秋元祐太朗(akimoto"at"risk.tsukuba.ac.jp) |
第191回リスク工学研究会
講演日時 | 2021年6月21日(月)18:15-19:15 |
---|---|
場所 | Zoomによるオンライン講演 |
講演者 | 岡田 知之氏(花王株式会社 コーポレート戦略部門) |
講演題目 | 企業におけるリスクマネジメントの実践 |
講演概要 | 一口にリスクと言っても我々のまわりには様々なリスクが存在する。本研究会では、まず暮らしの中で我々がリスクに対してどのように向き合っているかをリスクマネジメントの視点から確認し、その上で企業を取り巻くリスクに対して企業が実際どのように対応しているのかを事例を交えながら紹介し、リスクマネジメント実践のポイントを解説する。最後に、花王流のエンタープライズリスクマネジメントの現状と課題についても紹介する。 |
参加方法 |
・学内関係者限定 ・リスク・レジリエンス学位プログラムの学生・教員は申込不要です。 ・それ以外の学内関係者の方は、お問い合わせよりご連絡ください。 |
企画担当・司会 | 秋元 祐太朗(システム情報系 助教:R2学位P担当) |
問い合わせ先 | 2021年度RERM担当 秋元祐太朗(akimoto"at"risk.tsukuba.ac.jp) |