リスク工学研究会(RERM)

リスク・レジリエンス工学学位プログラムでは,定期的にリスク工学研究会(Risk Engineering Research Meeting : RERM)を開催しています。参加は自由ですので,教員,学生を問わず,専攻外の方でも,興味をお持ちの方はふるってご参加ください。

趣旨

近年,個人・企業等の自然災害のリスクおよび社会リスクに対する関心は高くなってきている.地球規模での高度情報化が進み,社会システムも複雑化する一方で,ひとつの事象を限定的な分野内で把握し,問題点を解決することは年々難しくなっている.リスク評価の難しさは,社会の複雑化と密接に関連しており,リスクに対する関心の高まりは,昨今の複雑かつグローバルな社会事象を反映していると思われる.

そのような背景の中で,2002年度 リスク工学専攻には電子情報,機能工学,社会工学から「リスク」をキーワードとして異なる分野の研究者が集まった.

2020年度からリスク・レジリエンス学位プログラムに発展的に移行し、リスク・レジリエンス基盤,情報システム・セキュリティ,都市防災・社会レジリエンス,環境・エネルギーシステムといった研究会設置当初より複雑化した社会の多様なリスク・レジリエンスに対応可能な研究者により構成されている.

しかし,リスク・レジリエンスのニーズに応えるためには抽象的なレベルでの議論ではなく,具体的な構想を練らねばならず,次の二点が必要であると考える.

ひとつは,各構成員がリスク・レジリエンス工学学位プログラムに適した研究をしっかりと進めていくことであり,もうひとつはこれらの各研究を可能な範囲で連携していき学位プログラム内での共同研究プロジェクトとして立ち上げることである.

それらが集まった時に自ずとリスク・レジリエンス工学学位プログラムとしてのユニークな将来構想が見えてくる.

2022年度開催RERM

第209回リスク工学研究会

講演日時 2023年1月19日(木)18:30-19:30
場所 総合研究棟B110とZoomによるハイブリッド開催
講演者 秋山 肇 氏(筑波大学 人文社会系 助教)
講演題目 憲法と現代社会のリスク:予防原則の観点から
講演概要 環境や新型コロナに代表されるように、現代社会には多くのリスクが存在し、これらへの対応が迫られている。これらのリスクに対応するために、国際環境法などでは予防原則が導入されてきている。しかし予防的措置は自由や権利の制限が強くなる傾向があり、この懸念から日本の憲法学では、予防原則には批判的な視点が投げかけられてきた。リスク社会において、自由や権利の価値をどのように考えるべきなのか。予防原則が新型コロナ対策で援用されたと言われるニュージーランドの例に言及しつつ、憲法の役割と予防原則のあり方について検討する。
参加方法 ・リスク・レジリエンス工学学位Pの学生・教員は申込不要です。
・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。
https://forms.gle/Mt1oGuAZjCpkHoEz5
企画担当・司会 鈴木研悟(システム情報系 助教:R2学位P担当)
問い合わせ先 2022年度RERM担当 三崎 広海(hmisaki"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第208回リスク工学研究会

講演日時 2022年12月12日(月)18:15-19:15
場所 総合研究棟B110とZoomによるハイブリッド開催
講演者 平林 博子 氏(電子航法研究所 主幹研究員)
講演題目 航空交通管理の現状とこれから
講演概要 航空交通管理とは、従来の航空管制を中心とした航空交通サービスに、航空交通流の円滑化、空域の有効利用等を加味し、航空交通の安全の確保及び効率性の向上を目指すものです。航空需要が増加すればするほど、航空交通管理の役割は重要となります。日本では、航空交通管理を実施する場として、1994年に航空交通流管理センターが福岡に設立され、2000年代に航空交通管理センターへと発展しました。本講演では、現在日本で実施されている航空交通管理を紹介するとともに、研究の側面から見たこれからの航空交通管理についてお話します。
参加方法 ・リスク・レジリエンス工学学位Pの学生・教員は申込不要です。
・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。
https://forms.gle/S6dsdYNnrMf1tibY7
企画担当・司会 涂 念之(R2学位P 博士後期課程)
問い合わせ先 2022年度RERM担当 三崎 広海(hmisaki"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第207回リスク工学研究会

講演日時 2022年11月21日(月)18:15-19:15
場所 総合研究棟B110とZoomによるハイブリッド開催
講演者 安藤 正治 氏(東京ガスネットワーク株式会社 茨城支社 政策担当部長)
講演題目 2030年におけるカーボンニュートラル社会の実現に向けた都市ガス業界の取り組みとレジリエンスについて
講演概要 カーボンニュートラル社会実現に向けての取り組みは全世界的な最重要課題となっております。脱炭素の切り札としての太陽光や風力発電を始めとする再生可能エネルギーの様々な技術が進展すると共に、合成メタン、CCUS、水素、アンモニアと言った新たな代替エネルギーのサプライチェーンの構築が始まりつつあります。一方で地球温暖化による異常気象や風水害が都市インフラ等の機能に対して影響を及ぼし始めている事からも、自然環境の変化を受けやすい再生可能エネルギーを推進する為には補完機能としてのレジリエンス強化が求められております。2030年までのトランジション期間において、都市インフラの一役を担う都市ガスにおいては環境面やエネルギー安定供給のみならず、より一層の省エネ技術の進展やCO2ネット・ゼロに資する取り組みが期待されております。本日は都市ガス業界が描くカーボンニュートラル社会に向けた具体的取り組み事例を紹介致します。
参加方法 ・リスク・レジリエンス工学学位Pの学生・教員は申込不要です。
・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。
https://forms.gle/NvG6w9iZmvSbhHsk9
企画担当・司会 岡島 敬一(システム情報系 教授:R2学位P担当)
問い合わせ先 2022年度RERM担当 三崎 広海(hmisaki"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第206回リスク工学研究会

講演日時 2022年11月14日(月)18:15-19:15
場所 総合研究棟B110とZoomによるハイブリッド開催
講演者 田上 雅浩 氏(気象庁気象研究所 研究官)
講演題目 「重い水」を用いた地球水循環のトレーサビリティ
講演概要 自然界には、通常の水分子(1H2 16O)よりも「重い水(1H 2H 16O、(1H2 18O))」が存在する。このような重い水は「水の安定同位体」と呼ばれており、普通の水分子より凝結しやすい分別という性質を持つ。この分別により、重い水分子と普通の水分子との比である水蒸気の同位体比は、水蒸気が降水するほど低くなる。このような水の安定同位体の変動性を利用し、従来は、水の起源、輸送、混合を推定する水循環のトレーサーとして水文学、古気候学、地球化学などの分野で利用されてきた。その一方、近年では、水蒸気の同位体比を衛星から観測できるようになったこともあり、観測されたデータを気象予報の改善に役立てようとする動きもある。水循環に関するトレーサー情報を気象モデルに与えて客観的に解析することで、大気モデルの解析精度が向上し、河川洪水リスク予報に向けて活用されつつある。本講演では、水の安定同位体を用いた地球大気水循環のトレーサー研究について紹介した後、最新の技術開発を含めた今後の研究計画・構想について紹介する。
参加方法 ・リスク・レジリエンス工学学位Pの学生・教員は申込不要です。
・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。
https://forms.gle/hrSPEDhsaJVXxLL1A
企画担当・司会 木下 陽平(システム情報系 助教:R2学位P担当)
問い合わせ先 2022年度RERM担当 三崎 広海(hmisaki"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第205回リスク工学研究会

講演日時 2022年10月31日(月)18:15-19:15
場所 Zoomによるオンライン開催
講演者 岡南 直哉 氏 (Security Researcher, NSI)
講演題目 クロスチェーンアプリケーションの脆弱性
講演概要 近年ブロックチェーン上では多様なアプリケーションが動き多額の資産がやり取りされているが、それに伴いアプリケーションから資産を流出させる攻撃が増加している。2022年だけでも約3000億円に相当する資産が攻撃により失われたと報告されている。特にブロックチェーン間で通信を行う「クロスチェーン」のアプリケーションは、異なるアーキテクチャとネットワークを連携する複雑さのため、脆弱性を内在しやすく攻撃被害が急増しており、その被害額の約60%を占める。本講演では、クロスチェーンアプリケーションの脆弱性と攻撃を類型化して紹介し、さらに、その中から最新の攻撃をいくつかピックアップし、筆者が実装したProof of Conceptと共に解説する。
参加方法 ・リスク・レジリエンス工学学位Pの学生・教員は申込不要です。
・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。
https://forms.gle/MQc3tLnP1PHqtt5v5
企画担当・司会 西出 隆志(システム情報系 准教授:R2学位P担当)
問い合わせ先 2022年度RERM担当 三崎 広海(hmisaki"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第204回リスク工学研究会 (共催:原子力規制人材育成プログラム講演会)

講演日時 2022年10月17日(月)18:15-19:15
場所 総合研究棟B110とZoomによるハイブリッド開催
講演者 山次 北斗 氏(電力広域的運営推進機関(OCCTO) 企画部長)
講演題目 深刻化する電力不足と電力広域的運営推進機関の安定供給への取り組み
講演概要 電力広域的運営推進機関(略称:広域機関、OCCTO)は、電力システム改革の第一段階で2015年に設立された認可法人です。以降、中立・公平な立場で、電力の安定供給を維持し、供給システムをできる限り効率化するという役割を担ってきています。 本研究会では、広域機関の取り組み、特に昨今の電力需給ひっ迫への取り組みなどを通じて、電力業界におけるリスク対応についてご紹介いたしたいと思います。

(主な内容)
・電力広域的運営推進機関について
・電力広域的運営推進機関の取り組み
  ・電力システムのセキュリティ確保の推進
  ・送配電設備の公平・公正かつ効率的利用の推進
・昨今の電力需給ひっ迫への対応
・当面の電力需給の見通し
参加方法 ・リスク・レジリエンス工学学位Pの学生・教員は申込不要です。
・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。
https://forms.gle/yaXuxNNTKzMeLZsu9
企画担当・司会 岡島 敬一(システム情報系 教授:R2学位P担当)
問い合わせ先 2022年度RERM担当 三崎 広海(hmisaki"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第203回リスク工学研究会

講演日時 2022年7月25日(月)18:15-19:15
場所 総合研究棟B110とZoomによるハイブリッド開催
講演者 頭士 泰之 氏(R2学位P 准教授(協働大学院),産業技術総合研究所)
講演題目 化学物質リスク評価と次世代ノンターゲット分析技術
講演概要 化学物質というと馴染の湧かない人も多くいるかもしれないが、我々は皆その恩恵を受けてきており、同時に様々な悪影響も被ってきたという歴史がある。近年では我が国では化学物質による甚大な被害が発生する事も少なくなり、化学物質もたらすリスクとベネフィットのバランスを取る事に日々努力が払われている。一方で、新たな問題として気候変動により増加しつつある災害時の化学物質流出、プラスチック依存社会がもたらしたマイクロプラスチックの蔓延、利便性を追求したことにより生まれたフォーエバーケミカルの残留などが顕在化しており、従来とは様相の異なる問題への対応が迫られている。本講演では、化学物質リスクのこれまでと新たに顕在化している問題について紹介する。さらに、こうした新たな化学物質リスクを評価するための鍵となる次世代ノンターゲット分析技術を取り上げ、情報処理技術と組みあわせた手法開発の最前線についても紹介する。
参加方法 ・リスク・レジリエンス工学学位Pの学生・教員は申込不要です。
・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。
https://forms.gle/hXP279nj5EC92F1U9
企画担当・司会 三崎 広海(システム情報系 助教:R2学位P担当)
問い合わせ先 2022年度RERM担当 三崎 広海(hmisaki"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第202回リスク工学研究会

講演日時 2022年7月11日(月)18:15-19:15
場所 総合研究棟B110とZoomによるハイブリッド開催
講演者 吉田 光男 氏(筑波大学ビジネスサイエンス系 准教授)
講演題目 ソーシャルデータと計算社会科学による社会現象の分析
講演概要 計算社会科学は、人間の相互関係によって成り立つ社会をデータに基づいて解明していく学問で、ビッグデータやコンピュータの活用が可能にするデジタル時代の社会科学です。常に記録され続ける大規模ソーシャルデータの登場と、それを扱うための情報技術や数理的枠組みの発展により生み出されました。本講演では、情報拡散行動に関するデータ(Twitterのリツイート)を大規模に収集し、エコーチェンバー現象の要因(接触情報の偏り)や党派性による情報拡散強度の違いなどを明らかにしたり、昨今のCOVID-19に関するユーザの感情変化の推移を分析したりした事例などについて紹介します。
参加方法 ・リスク・レジリエンス工学学位Pの学生・教員は申込不要です。
・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。
https://forms.gle/MU6uuEpsjMc1gCUw5
企画担当・司会 三崎 広海(システム情報系 助教:R2学位P担当)
問い合わせ先 2022年度RERM担当 三崎 広海(hmisaki"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第201回リスク工学研究会

講演日時 2022年7月4日(月)18:15-19:15
場所 総合研究棟B110とZoomによるハイブリッド開催
講演者 田代 洋一郎 氏(東京電力ホールディングス株式会社 経営技術戦略研究所)
講演題目 事故事例から学ぶ蓄電池システムが持つリスクと安全対策
講演概要 2050年のカーボンニュートラル実現に向けて蓄電池活用の期待は高まっている。一方で蓄電池の普及に伴う火災・爆発事故は世界各国で継続して起きており、2021年には死亡者が出る大災害も発生するなど安全に対する課題も山積している。本研究では爆発事故を含めた事故事例について解説すると共に、蓄電池システムが持つリスクや国際標準規格による安全対策などについて紹介する。
参加方法 ・リスク・レジリエンス工学学位Pの学生・教員は申込不要です。
・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。
https://forms.gle/xHNaCp3DDgg5J3NWA
企画担当・司会 秋元 祐太朗(システム情報系 助教:R2学位P担当)
問い合わせ先 2022年度RERM担当 三崎 広海(hmisaki"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第200回リスク工学研究会【RERM第200回・リスク工学専攻設立20周年記念特別企画】

講演日時 2022年6月13日(月)18:15-19:15
場所 総合研究棟B110とZoomによるハイブリッド開催
プログラム 18:15-18:55 講演「リスク工学専攻で学んだこと ―最近の都市災害研究と活動について―」
 村尾 修 氏(東北大学災害科学国際研究所 教授)
18:55-19:15 パネルディスカッション「リスク・レジリエンス工学学位プログラムの今後」
 村尾 修 氏
 岡島敬一 氏(システム情報系 教授:R2学位Pリーダー)
 遠藤靖典 氏(システム情報系 教授:システム情報工学研究群長)
講演者 村尾 修 氏
講演題目 リスク工学専攻で学んだこと ―最近の都市災害研究と活動について―
講演概要 2000年12月1日、筆者は筑波大学社会工学系(都市計画)に着任し、数ヶ月後に設立されたリスク工学専攻の初期構成員として配属された。本研究会では、RERMの立ち上げを含め、筆者がリスク工学専攻で過ごした12年間とその後の東北大学災害科学国際研究所での9年間を振り返り、現在行なっている都市防災に関する研究と各種活動を紹介するとともにその源流を探る。

(主な内容)
・ヤンゴンにおける都市の脆弱性評価
・復興曲線を用いた巨大災害からの復興過程の比較
・災害対応の都市・建築空間データベース
・新たな避難所モデル
・「2006年危機管理教育プログラム調査」→「都市と防災」→「建築・空間・災害」
・APRU Multi-hazards Program
・地域防災
など
参加方法 ・リスク・レジリエンス工学学位プログラムの学生・教員は申込不要です。
・それ以外の方は、所属先メールアドレスにて以下よりご登録ください。
https://forms.gle/W3PumFcoYdQEo3FQ9
企画担当・司会 三崎 広海(システム情報系 助教:R2学位P担当)
問い合わせ先 2022年度RERM担当 三崎 広海(hmisaki"at"risk.tsukuba.ac.jp)
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